0から分かる!RFP(提案依頼書)の書き方解説

「RFPを書いて」と言われて困ってしまった事はないでしょうか?

RFPはシステム開発やWEBサイトの制作を外注する際、そのプロジェクトの背景や課題、ゴールなどの情報を発注側に伝えるための重要な文書ですが、書き方について、特に決まり事はありません。

そのため、実際に書くにあたって「どのような内容で構成したらよいか分からない」と悩んでしまったり、「そもそもRFPって何?どうしても必要なの?」と疑問に思う方は多いかと思います。

本記事では、RFPの概要から記載のポイント、サンプルを使って0から解説を行っていきます。

「RFPという言葉を初めて聞いた」という方にもわかりやすくお伝えしておりますので、ぜひ最後までご一読ください。

 

 

目次
‐ 1.RFPとは
‐ 2.RFPの目的
‐ 3.RFIとの違い
‐ 4. 作成前の注意点
‐ 5. RFPに記載すべきポイント
 ‐ ①背景と課題
 ‐ ②システム化の目的
 ‐ ③ゴール・目標
 ‐ ④対象範囲
 ‐ ⑤機能要件
 ‐ ⑥非機能要件
 ‐ ⑦予算
 ‐ ⑧スケジュール
 ‐ ⑨提案書・見積書に関する情報
 ‐ ⑩開発に関わる条件
 ‐ ⑪契約に関する情報
‐ 6. まとめ

 

RPFとは

RFPとはRequest For Proposalの略で、日本語では「提案依頼書」と言われているものです。

冒頭でお話しました通り、RFP(提案依頼書)はプロジェクトの背景や課題、ゴール・目標、要件、予算、スケジュールなど、各種要件をまとめて発注先のベンダーに提示する書面になります。

ベンダーはその提案依頼書を見て「うちだったらこれくらいの品質規模のものを、これくらいの予算で、いついつまでに出来ますよ」という提案書を送付してくれます。

RFPを複数の候補先のベンダーに送付すれば、それだけ提案書が集まります。

集まった提案書を見比べ、どこに発注するかを最終的に決める、というのが発注までの流れとなりますので、明確で魅力的なRFPを作成し、適切な提案をベンダー側から受け取りましょう!

 

RFPの目的

RFPの目的は、ベンダーに対してプロジェクトの明確な要件や、期待する成果物を伝え、より良い提案を受けることで候補者を絞り込む事です。

ベンダーにも「システム開発は得意だけど、デザインは苦手」といった具合に得意不得意の領域があり、送付された提案書を見比べればそれが見えてきます。

先にプロジェクトの明確な要件やゴールを伝えておくことで、無理なくミスマッチを防ぎ、プロジェクトを成功に導く最適な提案者を見つける事ができます。

 

RFIとの違い

RFIとは「情報提供依頼書」と言い、会社の基本情報から製品やサービスについて、自社のホームページやパンフレットでは公開していない詳細の情報を提供してもらうための文書です。

RFPとRFI(Request for Information)は似たような文書ですが、RFIの目的は情報収集であり、発注するための候補先そのものをピックアップするために送付します。

RFPは要件をまとめて候補先を一つに絞るための文書なので、順序的にはRFIを先に送って、後からRFPを送ります。

また、RFI同様混同しやすいものとして要件定義書があります。

要件定義書は決定したベンダーとシステムの仕様や実装すべき機能について、更に明確な認識合わせを行うための文書です。

こちらも合わせて間違えないようにしておきましょう。

 

作成前の注意点

FP(Request for Proposal)を作成する前には、プロジェクトに関与する各関係者とのヒアリングを行うことが重要です。

ヒアリングは、要件や目標を明確にするための貴重な機会なので、プロジェクトに関与する関係者や専門家の方々からたくさん意見を貰いましょう。

主要となる人物は、利害関係者、業務担当者、経営層、営業部門、マーケティング部門、情報システム部門などといったところは、プロジェクトに関連深い部門になると思います。

適切な参加者を選ぶことで、幅広い視点や情報を得ることができます。

1.経営層
経営層の関与はプロジェクトの成功に直結します。
ヒアリングでは、経営層のビジョンや戦略に関する要望や目標を把握しましょう。プロジェクトが企業の戦略とどのように関連しているのかを理解し、RFPにそれを反映させることが重要です。
とりわけ、どの程度投資を行えば、どのくらいリターンがあるのかなどの費用対効果については確実にまとめておきましょう。

2.マーケティング部門
マーケティング部門は顧客や市場のニーズに精通しています。
ヒアリングでは、マーケティング部門の視点を取り入れ、プロジェクトによって達成すべきマーケティング目標や顧客体験の向上に関する要件を明確にしましょう。顧客のニーズを満たすための提案内容や機能要件を把握することが重要です。
例えば、アンケートの結果に出ている項目は重要なものになります。

3.営業部門
営業部門は顧客との関係構築や営業活動に直接関わっています。ヒアリングでは、営業活動の効率化や顧客情報管理に関する要件、提案書や見積書の内容に関する要望などを押さえておきましょう。

4.情報システム部門
情報システム部門は技術的な側面やシステムの運用に関する知識を持っています。情報システム部門との対話を通じて、システム要件や技術要件を明確にしましょう。セキュリティや可用性、システムの拡張性など、技術的な制約や要件についても詳細にヒアリングすることが重要です。

これらのヒアリングを通じて、関係者の意見や要件を把握し、RFPに反映させることが出来れば、それぞれの視点をバランスよく織り混ぜた、包括的なRFPを作成することができます。

ただし、全員の意見を少しづつ反映させたものが、果たして達成したいシステムに最適化されたものになるか、よく吟味すべきです。

 

RFPに記載すべきポイント

①背景と課題

最初にプロジェクトに至った背景と問題点を明らかにします。

きっかけの出来事や、なぜそのプロジェクトが必要なのかを説明しましょう。

また、現在の課題や抱えている問題点についても具体的に記載します。

背景と課題の明示により、ベンダーはプロジェクトの背景や目的を理解し、適切な解決策を提案することができます。

②システム化の目的

システム化の目的や期待される効果を明確に示します。

具体的なビジネス上の目標や組織の課題解決に向けた目的を明示しましょう。システム化によって期待される効果やメリットを具体的に説明することで、ベンダーは適切なアプローチや解決策を提案できます。

箇条書きでも構いませんので、狙いとしている効果を全て書いておく事が重要です。

③ゴール・目標

プロジェクトのゴールや具体的な目標数値を示します。

達成すべき成果や期待される結果を定量的に定義することでベンダーはそれに基づいた計画やアプローチを立て、具体的な成果物を提案することができます。

通常は品質・コスト・納期の3つの項目に基づいて設定されますが、システム稼働後の運用目標を掲げても構いません。

④対象範囲

プロジェクトの範囲と関連する業務やシステムを具体的に記載します。

どのような業務やプロセスが対象となるのか、関連するシステムやインフラストラクチャーについても明示します。

対象範囲の明確化により、ベンダーは具体的なニーズに基づいた精度の高い提案を行うことができます。

⑤機能要件

システムに求められる具体的な機能要件を明示します。

どのような機能が必要であり、ユーザーが期待する機能や操作性について具体的に記載します。

機能要件の明確化により、ベンダーはそれに応じたシステムの提案や機能開発を行うことができます。

⑥非機能要件

システムに求められる性能やセキュリティなどの非機能要件を明記します。

性能要件、安全性要件、拡張性、保守性など、システムに関わる非機能的な要件を具体的に示します。

非機能要件の明示により、提案者はシステムの設計や開発においてこれらの要件を考慮した提案を行うことができます。ここではIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定義する「非機能要求グレード」に沿って下記のように項目分けを行うことをおすすめいたします。

  1. 性能・拡張性 
  2. セキュリティ 
  3. 運用・保守性 
  4. 移行性 
  5. 可用性 
  6. システム環境・エコロジー

⑦予算

プロジェクトの予算範囲やベンダーに期待する価格に関する情報を提供します。

予算の範囲や制約事項、予算の配分などを具体的に明示します。また、ベンダーに対して価格に関する要求事項や提案価格の提示方法についても指定することが重要です。

予算の明確化により、ベンダーは予算内での適切な提案を行うことができます。

⑧スケジュール

プロジェクトのスケジュールやマイルストーンを明確に示します。

プロジェクトの開始日、完了予定日、重要なタスクの期日など、具体的なスケジュール情報を提供します。また、マイルストーンや納品物の要求についても明示しましょう。

スケジュールの明確化により、ベンダーはタイムラインに基づいた計画やリソース配分を行うことができます。

⑨提案書・見積書の提出に関する情報

提案書の形式や提出締切、見積書の要求事項などを指定します。

提案書のテンプレートや提出方法、必要な情報の明示、提出期限などを明確に記載します。また、提案書の評価基準や審査プロセスについても説明すると良いでしょう。

提案書や見積書の提出に関する情報の明示により、ベンダーは要求に合わせた提案書の作成や提出を行うことができます。

⑩開発に関わる条件

サービス提供や機密保持、契約期間など開発に関わる条件を明示します。

サービスレベル契約や品質管理に関する要件、機密情報の取り扱い方法、関係者とのコミュニケーション手段など、開発における重要な条件を具体的に記載します。

開発に関わる条件の明確化により、ベンダーとの契約や開発プロセスの円滑な進行を図ることができます。

⑪契約に関する情報

契約形態や支払い条件、契約解除に関する情報を提供します。

契約形態(固定価格契約、時間単価契約など)、支払い条件(前払い、分割払いなど)、契約解除に関する規定(違約金、期間など)など、契約に関わる重要な情報を明示します。

]契約に関する情報の明確化により、提案者との契約交渉や契約締結の円滑な進行を促すことができます。


以上が、RFP(提案依頼書)に記載すべきポイントです。
これらの項目を適切に記述することで、提案者に必要な情報を提供し、明確な提案を受けることができます

まとめ

RFPとはベンダーから良い提案を受けるために作成する文書で、システムの発注先を決めるために重要なものと解説してきましたが、いかがでしたか?

RFPはプロジェクトの成功に不可欠な文書であり、明確かつ詳細な情報提供が必要です。

ベンダーが適切な提案を行えるように、上記のポイントを押さえたRFPを作成しましょう。

効果的なRFPの作成には、サンプルやテンプレートを活用することもおすすめです。

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