自治体DX化の現状と課題とは?事例から学ぶ成功のポイントを徹底解説!

本稿では自治体DX化の現状と課題を整理し、解決のための具体的な事例を知りたい方向けに、次の内容を解説していきます。

・自治体DX化の現状と課題

・自治体が取り組んでいるDX化の事例

・自治体がDX化を成功させるポイント

 

近年、民間企業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)化への取り組みが推進されてきました。

自治体においても新型コロナウィルスの拡大や地震や台風などの自然災害の増加に伴い、DX化への取り組みが必須となっています。

しかし、DX化への取り組みについては、現状約8割もの自治体が未着手という状況であり、民間企業と比べて大きく遅れを取っているのが現状です。

そこで今回は、そもそも自治体におけるDX化とは何か、自治体におけるDX化の課題や事例について解説していきます。

 

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目次
‐ 1.自治体におけるDX化とは
‐ 2.自治体が直面している課題
 ‐ ①職員不足
 ‐ ②財務情勢
 ‐ ③アナログ文化
 ‐ ④異なるシステムの運用
 ‐ ⑤マイナンバーカードの普及
 ‐ ⑥地方創生
‐ 3.自治体が取り組んでいるDX化の事例
 ‐ ①スマート自治体(兵庫県神戸市)
 ‐ ②とよなかデジタル・ガバメント宣言(大阪府豊中市)
 ‐ ③未来をつくる三鷹デジタル社会ビジョン(東京都三鷹市)
 ‐ ④せとまちナビ(愛知県瀬戸市)
 ‐ ⑤ICT推進計画(北海道北見市)
 ‐ ⑥こころむすび(長野県伊那市)
 ‐ ⑦いぬやまでばん(愛知県犬山市)
 ‐ ⑦くまリンク(熊本県 U-Bito JAPAN株式会社)
‐ 4.自治体がDXを成功させるポイント
 ‐ ①DX化の策定
 ‐ ②スモールスタートにする
 ‐ ③積極的なIT人材の教育と採用
 ‐ ④標準化・共通化の促進
 ‐ ⑤マイナンバーカードの普及促進
 ‐ ⑥行政手続のオンライン化
 ‐ ⑦AI・RPAの活用推進
 ‐ ⑧テレワークの推進
 ‐ ⑨セキュリティ対策の徹底
‐ 5.まとめ

 

自治体におけるDX化とは

総務省の自治体におけるDX推進の意義では、自治体におけるDX化を以下のように定義しています。

自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく

引用:総務省 自治体におけるDX推進の意義

つまり、自治体におけるDXとは、自治体が最新のIT技術を活用して住民に提供するサービスやワークフローなどを変革させることです。

自治体がDX化を取り入れて行政手続きがオンライン上でできるようになれば、住民の方はわざわざ役所に足を運び、時間かけて登録や申請の手続きを行う必要がなくなります。

そうなれば、住民にとって時間の削減になるだけでなく、自治体で働く職員の業務も削減できるため、DX化への取り組みが必須と言えます。

また、DX化への取り組みは地方創生(都市と地方の経済格差を減らし、日本全体の活力を高めること)にもつながるため、とりわけ地方の自治体では、積極的にDX化を取り入れる必要があります。

 

自治体が直面している課題と現状


自治体が直面している課題はたくさんあります。

ここでは、自治体が直面している課題について5つ紹介します。

①職員不足

総務省が発表した「地方公共団体の総職員数の推移」によると、2021年4月1日時点での総職員数は約280万人となっており、ピーク時の平成6年と比べて約48万人も減少しています。

このまま自治体の職員数が減少した場合、一人一人の業務の負担が増加し、行政サービスの維持が困難になると予測されるため、DX化を取り入れて業務の負担をカバーできるような体制が必要となります。

 

②財務情勢

少子高齢化や新型コロナウイルスの影響など様々な影響により自治体は、厳しい財政事情の中、市区町村運営を行っているのが現状です。

既存業務が忙しくてDX化に取り組むための時間や財源を確保する余裕がないため、DX化への取り組みが進められない自治体が多く存在します。

業務をおこなっている現場からDX化を取り入れたいといっても、財源的に中々取り入れられていないのが現状です。

 

③アナログ文化

紙やFAXを使った業務をはじめ、アナログ文化が根付いている自治体も多くあります。

手書きの紙を窓口で提出する手続きや新型コロナウイルスの感染者情報について、FAXを使用していたなど、自治体では紙を用いた業務フローがたくさん存在しています。

まだまだアナログ文化が根付いている自治体がたくさんあり、非効率な業務体制が改善されていないのが現状です。

 

④異なるシステムの運用

現状の自治体業務は、自治体ごとに異なるシステムを使って行っているため、システムの連携が難く、利便性が悪かったり、運用費などのコストも高くなっています。

自治体同士がうまく連携するためにも全体として共通のシステムを運用し、足並みを揃えて業務を行うことが大切です。

 

⑤マイナンバーカードの普及

2016年から導入されているマイナンバーカードですが、2022年11月時点では、交付率が50%弱とまだまだ浸透が進んでいないのが現状です。

マイナンバーカードを所有している人と所有していない人とで手続きなどの対応が異なってしまうため、一律の施策が取れないという事態が発生してしまいます。

国民全員がマイナンバーカードを取得して業務を効率化していくためにも、自治体はマイナンバーカードの普及に取り組む必要があります。

 

⑥地方創生

地方創生とは、ローカル・アベノミクスとも言われており、各地域がそれぞれの特徴を活かし、持続的かつ魅力のある社会を作り出すことを指します。

ここ数十年間、地方から都市への人口流入が進んでおり、それに伴い地方の過疎化が著しく進んでおり、大きな社会問題となっています。

今後もさらなる高齢化や人口減少により、地域が衰退すると考えられるため、地域や場所に関係なく日本全体として活力を上げることが大切です。

 

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自治体が取り組んでいるDX化の事例

あらゆる自治体ではDX化を取り入れることで、その自治体が抱えている課題を解決し、地方創生にも繋げています。

①スマート自治体(兵庫県神戸市)

(画像引用:神戸市『神戸市のDX』)

兵庫県神戸市では、DX化への取り組みとして2020年に「スマート自治体」という中長期的な目指す姿と今後5年間の行政運営及び財政運営の方向性を示した「行財政改革方針2025」を策定しています。

その取り組みの一環として、 新型コロナウイルスに関する専用チャットボット相談窓口を設置し、24時間新型コロナウイルスについての相談ができるようになりました。

また、神戸スマートシティポータルサイト「スマートこうべ」を開設し、ゴミ出し情報や、保育園の空き情報など市民の生活に役立つ情報・サービスを展開しています。

 

②とよなかデジタル・ガバメント宣言(大阪府豊中市)

(画像引用:豊中市『とよなかデジタル・ガバメント宣言』)

大阪府豊中市では、新型コロナウイルス感染症拡大をDX化を促進する契機ととらえ、デジタル技術の活用により【暮らし・サービス】【学び・教育】【仕事・働き方】を大胆に変えていく『とよなかデジタル・ガバメント宣言』を発出しています。

【暮らし・サービス】では、窓口での手続きにおいてインターネット予約で待ち時間を短縮、あるいはゼロにして、窓口の混雑状況をオンラインで配信するシステムを導入したり、【仕事・働き方】では、システムのクラウド移行などデジタル技術を活用したスマートワークスタイルを確立し、サービスと市職員の仕事の生産性の向上を目指しています。

 

③未来をつくる三鷹デジタル社会ビジョン(東京都三鷹市)

(画像引用:三鷹市『未来をつくる三鷹デジタル社会ビジョン』)

東京都三鷹市では、2020年に「未来をつくる三鷹デジタル社会ビジョン」を策定して、DX化への取り組みを行っています。

取り組みの一環として、保育所の入所手続きの事務作業にRPAというPC上で行う業務をロボットで自動化するテクノロジーやOCRという手書きの文字をデータ化するシステムを活用することで、60%近くの効率化を実現しています。

また、捨てたいごみの名前を入力するとAIがごみの分別を教えてくれるAIチャットボットの運用なども行い、市民のさまざまな質問に対応できる仕組みや生活が豊かになる取り組みを行っています。

 

④せとまちナビ(愛知県瀬戸市)

(画像引用:瀬戸市『せとまちナビ』)

愛知県瀬戸市では、地域課題の解決や市民生活の向上を図るため、市民の方と意見を出し合いながら一緒に作った市民参加型アプリ「せとまちナビ」をリリースしています。

「せとまちナビ」では、イベントや子育て情報など、瀬戸市からのお知らせがプッシュ通知で届いたり、病院や公共施設などの位置情報がすぐに表示されるマップ、その他生活の湯悪だつ機能が搭載されています。

また、瀬戸市では業務効率化とペーパーレス化への取り組みとして、電子決済機能がついた文書管理システムを全庁での導入が決定しており、文書の電子管理や電子決裁への完全移行を目指しています。

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⑤ICT推進計画(北海道北見市)

(画像引用:北見市『第3次北見市ICT推進計画』)

北海道北見市では、ICTを活用した効率的かつ効果的な質の高い行政サービス提供を推進するために北見市ICT推進計画に取り組んでいます。

取り組みの一環として北見市では、独自に開発した「窓口支援システム」を導入して、住民が申請書に記入せず手続きできる完全ペーパーレスのワンストップ窓口を実現しました。

このワンストップ窓口を設置することで利用者の利便性向上だけでなく、職員の業務効率改善にも大きく貢献しています。

 

⑥こころむすび(長野県伊那市)

(画像引用:伊那市『こころむすび』)

長野県伊那市では、人口の大都市圏への一極集中を是正し、自立助長を図るためなど地方創生の一環として、コミュニケーションサービス「こころむすび」を運営しています。

「こころむすび」では、子育てや趣味などを通した仲間づくりや福祉をテーマにしたコミュニティ活動や不要となったモノや自身の特技や知識を他の会員に譲るといった「モノやスキルの譲り合い」ができます。

また、伊那市に移住してきた人の情報交換するためのコミュニティを作って、移住者同士でつながり情報交換をすることもできます。

PCやスマホ、タブレット等のアプリからいつでも気軽に利用することができ、多くの住民の方に利用されています。

 

⑦いぬやまでばん(愛知県犬山市)

(画像引用:犬山市協働プラザ『いぬやまでばん』)

愛知県の犬山市協働プラザは、「スキル・モノ・スペース・活躍の機会」などの総合的な資源のマッチングサイト「いぬやまでばん」を運営しています。

「いぬやまでばん」では、自分が持つ スキルや経験などの資源 を犬山市のまちづくりに役立てたいと希望する人と、資源を探している個人や事業者などが、サイトを通して直接やり取りを行うことで、地域活動の促進に繋がる活動ができます。

サイト内には学びや体験、相談などあらゆるカテゴリーが設置されており、さまざまなカテゴリーの中から自身が必要とする案件を見つけることができます。

申し込みや購入はすべてインターネット上で行えるため、気軽に利用することができるサービスとなっています。

 

⑧くまリンク(熊本県)

(画像引用:熊本県 U-Bito JAPAN株式会社様『くまリンク』)

熊本県に本社を構えるU-Bito JAPAN株式会社では、「熊本県の地域づくりに貢献したい」
「関係人口の増加によって地域を活性化させたい」という想いから、熊本県の地域コーディネーターと、地域とつながりたい人をマッチングするマッチングプラットフォーム「くまリンク」を運営しています。

「くまリンク」は、新たな関係人口をマッチングする事業「くま4(くまよん)」の一環で、継続的に交流できるファンづくりの仕組みを構築し、地方創生を目指す事業です。

地域おこし協力隊などの地域コーディネーターは、案内や移住相談、アクティビティ、イベントなど様々案件が登録でき、ユーザーは登録された案件を見て、利用してみたいと思ったら、そのサービスを利用することができます。

直接的に自治体が運営している取り組みではありませんが、「くまリンク」は地方創生に大きく貢献できるサービスと言えるでしょう。

 

他にも事例を見たい方はこちらのリンクからご覧ください。
【2023年最新版】国内外のDX化成功事例20選!課題や成功のポイントを解説

 

自治体がDXを成功させるポイント


自治体がDX化を成功させるためには以下のポイントに留意して取り組むことが大切です。

①DX化の策定

自治体がDX化を成功させるためにまず第一に行うべきことは、取り組むべきDX化の策定を行い、組織全体で共有しておくことです。

短期的・長期的な計画をあらかじめ策定しておくことで、自治体の職員が取るべき行動を明確化しておくと、スムーズにDX化に取り組めるでしょう。

そのためには、自治体のトップがビジョンを提示し、DX化を取り入れることによりどのような課題を解決するのか、何を目指すのかを明確にする必要があります。

また、策定した取り組みを一般に公開することで、住民からの期待感にもつながります。

 

②スモールスタートにする

DX化の策定が定まれば、まずは、小さな規模からDX化に取り組むことが大切です。

最初から大規模な施策を行うと、住民が困惑してしまい、かえって職員の業務に支障をきたしてしまう恐れがあります。

少しずつDX化の取り組みを行うことで、住民の反応を伺いながら新たな課題の抽出が得られます。

小さな取り組みから成功した部分を拾い上げて、手ごたえがあれば徐々に拡張する方向で進めることが大切です。

【2024年最新版】DX化におすすめの補助金・助成金まとめ!申請方法や注意点もご紹介

 

③積極的なIT人材の育成と採用

DX化を推進するには、ITリテラシーの高い人材の育成と採用が必要です。

しかし、そもそも職員不足も自治体の大きな課題となっていることから、すぐに採用は難しいでしょう。

ITリテラシーの高い人材がいなくてシステムの運用ができないこのことから、

事前にデジタル人材の採用に加えて既存職員のITリテラシーを向上させる育成も行うことが大切です。

 

④標準化・共通化の促進

自治体がDXを推進する上で、業務プロセスやデータフォーマットの標準化・共通化は必須です。

異なる部署や地域間での情報共有が容易になれば、業務の効率化やシステムの互換性が向上し、あらゆる情報の管理が楽になるでしょう。

データを一元管理し、情報の正確性を保つことで無駄な重複作業を削減することができます。

 

⑤マイナンバーカードの普及促進

マイナンバーカードの普及は、住民と行政サービスとの間でスムーズなデジタル認証を実現し、オンラインでの手続きを容易にするとともに、紙ベースの申請や窓口での手続きの時間を削減してくれます。

また、セキュリティ性の高いデジタル認証により、個人情報の保護も強化されます。

 

⑥行政手続きのオンライン化

行政手続きのオンライン化は、住民の利便性を大幅に向上させると同時に、行政の業務負担を軽減してくれます。

ただし、そのためにはあらゆる人にとって直感的で使いやすいインターフェースの設計が重要です。

これに失敗してしまうと、案内役に人件費を割くことになってしまうでしょう。

 

⑦AI・RPAの活用促進

AI(人工知能)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の技術を活用することで、行政業務の自動化と効率化が図れます。

これらの技術を利用して、データ入力作業の自動化や、質問に自動で答えるチャットボットの導入を行えば、職員はルーチンワークよりも、頭を働かせる業務に集中できるようになります。

DX化に役立つツール15選!特徴や導入する際のポイントを徹底解説!

 

⑧テレワークの推進

テレワークの推進は、柔軟な働き方を実現し、職員の働きがいや生産性の向上に寄与します。

また、緊急事態や災害時においても行政サービスの継続性を保つために不可欠です。

テレワークを実施するためには、セキュリティ面での配慮とともに、適切なICTツールの選定が必要です。

 

⑨セキュリティ対策の徹底

デジタル化の進展とともに、サイバーセキュリティの重要性はますます高まっています。

自治体は、個人情報を含む機密情報を管理する責任があるため、セキュリティ対策の徹底が必須です。

これには定期的なセキュリティ研修の実施、セキュリティシステムの更新と強化、そして従業員に対する意識向上プログラムの実施が含まれます。

 

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まとめ

今回は、自治体におけるDX化について事例や課題などを解説いたしました。

少子高齢化や人口減少などの問題が進む日本において、自治体のDX化は必要不可欠なものとなります。

自治体においてデジタル技術を活用してDX化への取り組みを行うことで、市民に対するサービスや働く職員のワークフローの改革を進めていくことができます。

そのためにも、まずは小さなことからDX化を取り入れてみることが大切です。

是非今回の記事を参考に、自治体におけるDX化を始めてみてはいかがでしょうか。

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